四つのメガソーラー分を一括で発注

 EPC(設計・調達・施工)サービスは、中電工が担った。中電工にとっても、FITに基づく太陽光発電所としては初の案件となり、モデル事業として注力し、宣伝用資料に掲載されているほどだという。

 中電工が調達した関連機器や資材のうち、ソーラーフロンティア製の太陽光パネルについては、中電工とオリックスの取引関係に配慮し、オリックスを経由して調達した。パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した(図3)。

図3●PCSは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用
取材日前夜の激しい雷雨の影響で、山間部を中心にさまざまな被害があり、氏神工業団地太陽光発電所のPCSが自動停止し、広島空港流通工業団地太陽光発電所でも電気主任技術者が点検中だった(出所:日経BP)
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 いずれも出力や変換効率の高さ、価格とのバランスが魅力だった。「コストだけを優先した発電システムや施工では、20年間という長期間、事業を安定させ、収益を最大化することが難しい。しっかり作って、安定した発電を実現した方が、投資効率を高められる」というのが、大霜総務部長の考えである。

 また、PCSの定格を超える出力の太陽光パネルを設置する、「過積載」と呼ぶ手法を、いち早く取り入れた。東広島はPCSの定格1.99MWに対して、パネルの出力は2.4MW、北広島は、PCSの定格2.98MWに対して、パネルの出力は3.6MWとした。

 発電システム全体のロスによる発電量の低下や、曇りや朝夕の出力の低下を見込んで太陽光パネルの出力を上乗せし、その分の発電量を加えることでPCSの稼働率を高めて、売電量を増やせる利点がある。現在こそ一般的になっているが、計画時には広く知られておらず、社内外からの無駄なコストになるのではないかという疑念を解くのに苦労したという。

 実際の年間発電量は、予想に対して約10%上回り、まだ1年目ではあるが、実績で証明できた。

 こうした選定や事業計画の策定にあたって、広島県福山市にある中国電力の出力3MWのメガソーラー「福山太陽光発電所」を主に参考にした。