契約内容から調整が必要に

 メガソーラーは、不動産事業部に有効活用の相談が寄せられていた2カ所の工業団地の未利用地を買い取り、そこに建設することにした。東広島市にある広島空港流通工業団地と、北広島町にある氏神工業団地の土地だった(図2)。

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図2●東広島市の広島空港流通工業団地(上)と北広島市の氏神工業団地(下)に建設
南側に森がある東広島市では、影の影響を受けないように、スペースを空けて太陽光パネルを設置し、雨の多かった北広島市では、排水溝まで自然に川ができていた(出所:日経BP)
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 2カ所のメガソーラーの建設を、ほぼ同時に進めていければ、必要な申請や交渉、契約などの手続きを一緒にこなすことで、効率化しやすい。しかし、FITの施行直後で、中国地方では初めてだったことから、苦労した面もあった。

 例えば、売電契約(電力受給契約)では、同じ中国電力であっても、契約先は連系点のある地域を担当する営業所となるが、営業所ごとに手探りで模索し、契約内容や対応が異なる状況にあり、調整しながら進めていった。

 ワコーグループが建設を急いだ理由は、2013年3月末までに稼働できれば、エネルギー環境負荷低減推進税制(グリーン投資減税)の一括償却の対象になることがあった。その後、この制度は3年間、延長されることになったが、「2013年3月末までに稼働を開始するには、設備認定、連系協議、土地の取得、建設まで、すべてを見切り発車で進めない限り、間に合わなかった」と、大霜総務部長は振り返る。結果的に、2カ所とも3月末までに稼働できた。