図1●再生可能エネルギー開発のレノバが建設した富津メガソーラー(出所:レノバ)
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 スイスとオーストリアに挟まれた面積わずか160km2の小さな国、リヒテンシュタインに本社を置くヒルティは、太陽光パネル用架台で独シュレッターとシェアナンバーワンを争う世界トップクラスのメーカーだ。2013年までの累計の出荷量はパネルの出力に換算して3000MW(3GW)に達する。これは日本国内でこれまでに稼働した出力1MW以上のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の規模(約2.5GW)を上回る。国内でも、この7月に発電を始めた出力40MWの関東圏最大の太陽光発電所、富津メガソーラー(千葉県富津市、図1)で採用されるなど存在感を高めつつある。

 ヒルティの“本業”は、コンクリートを打ち壊すはつり機や穴を開けるドリルなどの建設用工具で、この分野の世界的なメーカーである(図2)。創業は1941年。従業員数2万1000人の大企業で、現在の販売地域は世界121カ国におよぶ。日本でも1968年の進出以来、工具事業は40年以上の実績を誇る。

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図2●ヒルティのはつり機(左)とドリル(出所:日本ヒルティ)

 日本ヒルティ広報の椿圭介氏は「ヒルティは技術による独自性の追求を企業文化として重んじる。はつり機やドリルは振動が小さいことなどが世界の市場で評価されている」と話す。強い振動に長時間さらされると手や腕の神経や血管、筋肉が損傷し、手腕振動症候群を発症することが知られている。作業者の健康を守るために建設事業者には、振動の強さに応じた作業時間や作業間隔の管理がどの国でも義務付けられている。国内では厚生労働省の「振動障害予防対策指針」などが基準になる。振動が小さければ、それだけ作業者の作業時間を確保しやすくなり、工事の効率を高められる。