そこで、患者数においてどの部署とどの部署の相関が高いかを分析し、さらに時間帯別に患者の動線比較を試みた。「今までなら、1日平均来院者数1050人というふうに、数字で書くのが普通だった。しかし、これからのビッグデータ時代では、各診療科間で相関があるかどうかを見つけていくことが大切」(紀ノ定氏)という。

 具体的には、(1)会計を担当する医事会計は多くの診療科と強い相関がある、(2)内科と外科、検査部と内科の間にも強い相関関係がある、(3)検査部の外科の間の相関は弱い、(4)ウオークイン(予約なし)の患者を受付する総合診療部と内科の相関は比較的強い、などの結果が判明した(写真2)。

写真2●部署間の相関性を分析した図
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 そして、相関の弱い診療科や部門を外して、内科、外科、検査部、医事会計の間の相関関係を分析した。「院内滞在時間1時間半で、患者の8割は帰っている。しかし、時々3~5時間滞在する患者がいて、これはクレームの素になりかねない。長時間滞在の原因をどの過程で作り出しているのかを分析した」(紀ノ定氏)。

 具体的に、どのパターンが時間がかかっているかを解析したところ、検査部→外科→医事会計というパターンと、検査部→内科→医事会計というパターンで、2時間半から3時間滞在する患者がかなり多く存在することが分かった。このパターンをさらに分解してみたところ、最初の過程である検査部から内科・外科に行く動線では、さほど時間はかかっていなかった。内科・外科から医事会計に行くまでの間に、長時間院内に滞在しなければならない要素が生じていたのだ。

 検査を終えて外科や内科に戻り、医師から説明を聞いて処置をして、その後医事会計に行くという動線において、「課題があることは明らかで、そこを改善することで患者の不満を解消できた」と紀ノ定氏は説明した。現在では、多くの患者の滞在時間は90分以内だという。