破壊的ヘルスケア・ビジネスモデル

 この数年で、日本でもビジネスモデルという概念がだいぶ浸透してきました。ビジネスモデルとは、誰に何の価値をどのように生成/提供し、その対価としてどのように金銭を獲得するかに言及するものであり、ビジネスモデルキャンバスというツールが多くの起業家や新規ビジネス構築者の間で使われています。

 ここでは、従来のヘルスケアビジネスに加えて、イノベーションを起こすためにどのような新しい要素を加えるべきかを描写したビジネスモデルをご紹介します(図3)注3)
注3)「10 Disruptive Business Models」by trend watching.com (2013.7.2)を参考

図3 破壊的ビジネスモデル
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 これからの新しいヘルスケアビジネスにおいては、従来の治療や予防に関する製品やサービスを提供するだけでなく、患者に対するエンパワーメント(患者の自律的行動を促し、それを支援すること)が重要となります。また、オンラインやモバイルプラットフォームを通じ、前述のような様々な利害関係者の交流を支えるコミュニティーも必要となってきます。

 一方、オペレーション領域に目を向ければ、従来の活動やリソース(経営資源)に加えて、患者による自己診断を支援するようなデータ分析やその他活動、その方法論の確立がキーとなります。ここにおいて、データ分析による意思決定、専門知識をもつプロフェッショナルの知見による意思決定、患者によるセルフサービスによる意思決定を支えるテクノロジーの中核としてBRMSの潜在的な活用領域があるのではないでしょうか。

 患者を含む消費者を中核としたソーシャル型あるいはコ・クリエーション型のビジネスモデル、それを支えるBRMSを含むICTの活用が、これからの新しいヘルスケアの業界地図を変えていくというトレンドは確実に進展してきているようです。