Mobile Asia Expoは、毎年2月にスペイン・バルセロナで開催されるモバイル業界最大の展示会「Mobile World Congress」のアジア版という位置付けのイベントだ。ここには中国の3大キャリアを中心に、アジアの通信業界から多数のベンダーが出展する。日本からはNTTドコモがブースを出展したことで注目を集めた(写真1)。

写真1●Mobile Asia Expo 2014のNTTドコモブース
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 特集第4回となる今回は、COMPUTEX TAIPEI 2014やMobile Asia Expo 2014におけるモバイル関連の展示を振り返る。

ドコモの「ポータブルSIM」が示すビジョン

 ドコモブースの展示で最も来場者をひき付けていたのは電気自動車「テスラ」だが、業界関係者の関心という点では「ポータブルSIM」の注目度が上回っていたといえる(写真2写真3)。SIMカードを搭載しない端末にワイヤレスで電話番号を割り当てるという、これまでにないSIMのあり方を示す発表となった(関連記事)。

写真2●ドコモブースの「ポータブル展示コーナー」
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写真3●「ポータブルSIM」の本体
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 ポータブルSIMは、一見するとトレンドに逆行するかのようなアイデアだ。ドコモは新料金プランとして、デバイスを適宜追加するという方向性を打ち出している。MVNO各社も月額500~1000円程度から利用できる安価なプランを相次いで発表している。これらを活用すれば、必要に応じてデバイスごとにSIMカードを契約、追加していくことが可能になるはずだ。

 また、ポータブルSIMでは複数のデバイスで電話番号を切り替えることが大幅に容易となる。(写真4)これまでデバイスごとに回線契約を行っていたユーザーとしては、ポータブルSIMに契約を一本化することで料金を節約できる可能性がある。その半面、ドコモ側から見れば回線数は減少することになる。契約プランによっては、これが収入の減少につながることも考えられる。

写真4●複数のデバイスを切り替えて使うことが容易になる
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