文章力を高める方法については、さまざまな本や教育用のテキストで紹介されています。ここでは、一般的に言われている文章力向上のための方法について整理します。

 まず、文章力とは何かについて考えてみます。文章力とは、分かりやすい文章を書くことのできる力、論旨がしっかり通っている文章を書く力を指します。この視点から評価すると、文章表現の巧みさ、修辞学にたけているという意味を指すものではないことは明らかです。このようなものは、文芸の世界であって初めて評価されるものです。

 極論すれば、全体としての意味が通り、まとまりがあれば文章力はあると言えます。たとえ朴訥とした表現であってもいいわけです。箇条書き文の集合体であっても構いません。

 これを、その文章は意味としての構造が成立しているといいます。意味としての構造が成立するように書くためには、主題に対しての理解を深めなければなりません。さらに、使う単語の意味を理解し、自分なりの単語に対しての定義を持っていなければ、構造が成立することはありません。

 これらのことを踏まえて、文章力を強くする要素を人間の身体にたとえてみましょう。

  1. 骨にあたるもの:文章力では、文章を正しい構造で組み立てる構文力に相当します。構文とは、文章の構造や文章の組み立てを指します。
  2. 肉にあたるもの:文章力では、論理的に考える力を指します。
  3. 血にあたるもの:文章力では、使うことのできる語彙の豊富さに相当します。
  4. 神経にあたるもの:文章力では、発想や想像力に相当します。

 では、これらの力をどのようにして強くすればよいのかを解説しましょう。