――前回から続く――

気仙沼
村岡外科クリニック院長の村岡正朗氏

 村岡外科クリニック 院長の村岡正朗氏の声がけで2012年に発足した「気仙沼在宅ワーキンググループ」(以下、気仙沼在宅WG)。同年11月の第1回から、これまでに22回の会合を重ねてきた。

 そこでは、在宅療養における各職種の業務の在り方、症例や地域の課題などの検討を進めた。それと同時に、ソネットから実証実験依頼があったシステム「在宅ケア多職種連携支援システム」のプロトタイプの評価にも取り組んだ。

共有すべき情報を洗い出す

 まず検討したのは、ソネットから提案されたシステムに対して、必要な機能、不要な機能を選別することだった。これにより、地域包括ケアの多職種連携を支援するシステムとして、実際に現場で使いやすくなるようにしていった。

 その過程で村岡氏らが最初に注力したのが、多職種チームで在宅療養を進めていくために共有すべき情報は何かを洗い出すことである。「各職種から必要とする情報を挙げてもらい、それらを集約して全スタッフが知っておくべき情報、あるいは幾つかの職種で共有すべき情報の公約数は何か、などを選定していった」(同氏)。

気仙沼
気仙沼在宅WG

 こうした検討を踏まえて、最低限必要な情報として挙がったのが、患者を特定できる基本情報、直近の服薬歴、病名、処方薬(何を意図して処方されたかの情報を含む)などである。患者情報は氏名・住所・連絡先・血液型・家族情報などに限定し、介護福祉で使われるフェースシートほど詳細なものではなく、過去の病歴や手術歴、詳細な検査結果履歴などもない。

 村岡氏は、「あくまでも今の患者の状態、生活状況を全スタッフが共有・把握し、欠けていることが何かを理解できることに重点を置いた。各職種がそれぞれ詳細な情報を持っているわけであり、必要なときに特定の相手にその都度聞けば事足りるという方針にした」と説明する。