ドイツやフランスの研究機関と提携

 その上で酒井氏が強調したのは、CIBiSの取り組みと従来の「医工連携」の違いである。医工連携については「さまざまな試みがなされているが、産業創生にまでは至っていない。ここに挑もうというのが我々の狙いだ。産業界と連携し、社会実装につなげることを強く意識していく」(同氏)。

 産業界との本格的な連携はまだこれからだが、「開かれた研究組織」としての素地はできつつあるようだ。例えば、生産研はCIBiSの設立前後から、国内外の研究機関との連携を強化してきた。大学内では、医学部・医学系研究科・附属病院や、分子細胞生物学研究所、医科学研究所、総合文化研究科などとの共同研究に着手。

 学外では、2014年1月にドイツMax Planck Instituteと提携し、「東大- Max Planck統合炎症学センター」を設立した。同年6月には、フランスのがん研究機関などとの連携拠点となる「SMMiL-E(スマイリー)」をLille(リール)市に創設。バイオMEMSを用いたがんの診断・治療技術の研究に取り組む。

国内外の研究機関と連携
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