メガソーラー(大規模太陽光発電所)による発電事業は、一般的に、山間部や農地、沿岸部などにある、広大な土地を利用します。これらの土地には、土地特有の制約や検討事項があるため、建設地の選定や、事業計画の作成において、留意すべきポイントがあります。

 まず、(1)農地法による制約です。田畑などの農地を、メガソーラーの建設用地として取得、または転用する場合、市町村の農業委員会や都道府県知事などの許可が必要です。

 農地は、農業上の生産性などに応じて分類されており、それぞれの分類によって、許可または不許可の対応などが異なります。メガソーラーを建設し、発電事業を実現できる農地は、転用の許可を得た第1種農地、第2種農地、または、届け出た市街化区域内農地に限られます(図1)。

図1●農地の分類ごとに許可や届出が異なる
(出所:安田祐一郎氏)
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 次に、(2)ソーラーシェアリングです。ソーラーシェアリングとは、農業と太陽光発電で日光を分け合い、両立する手法です。

 2013年3月に、農林水産省が公表した『ソーラーシェアリング(支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて)』に基づくものです。農地にメガソーラーを設置した後も、農業を続けていくことを条件に、(1)で紹介した農地からの転用をせずに、メガソーラーによる発電事業を実現できます。太陽光パネルを支える支柱を設置する場所だけ、農地から転用します。

 この制度によって、メガソーラーの建設用地として、これまで取得や転用が許可されなかった農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地などでも、メガソーラーによる発電事業が可能となりました。

 ただし、この制度には、営農していることを証明するため、農業生産量の一定以上の確保や、農作物の生産実績の報告義務が必要なほか、太陽光パネルの間から農作物に日光をあてるために、背の高い支柱を要するなどのコスト高になる要因によって、実際には、期待ほど実用化が進んでいません。