工期短縮で1MW当たり2億円を視野に

 浅川町のメガソーラーでは、こうした事前調査の結果、長いものでは地下5mの深さまで杭をねじ込んで、固定している。また、風の影響も加味し、相対的に風圧が強くなるメガソーラー内の一番前と後ろの架台では、杭と杭の間隔を狭めて、強度を高めている。

 設置する杭の長さと間隔が決まれば、後は専用の重機で、次から次にねじ込む。専用重機は、GPS(全地球測位システム)を備えており、正確な位置を把握できる。1台の重機で1日に約300本を設置できる。テンワスソーラー浅川発電所の施工では、専用重機2台を使い、1日600本の杭を設置し、今年4月の着工からわずか4カ月で完成した。今春、着工した出力18.8MWの福島県太陽光発電所は、年内には完成する予定だ。

 坪井工業は、固定価格買取制度(FIT)の買取価格が下がっていくことを見越し、2年間かけて、メガソーラーの低コスト化について研究・開発してきたという。その成果をテンワスソーラー浅川発電所に生かした。台湾のAUO社の太陽光パネルを採用したのは、日本製の高品質のシリコン材料(インゴット)を使用しており、信頼性が高いことを評価した。PCSは国内トップブランドのTMEIC製だ(図8)。そして、Saferay社の短期施工のノウハウを導入することで、システムの品質を維持しつつ、建設費用の低減に成功したという。

図8●東芝三菱電機産業システム(TMEIC)のパワーコンディショナー(PCS)(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 坪井工業の置塩部長は、「国内のメガソーラーの建設コストは1MW当たり3~4億円だが、2年間の研究・開発の結果、同2億円程度に下げるめどが付いた。買取価格32円/kWhでも十分にやっていける。設備には妥協せず国内外のトップブランド品を採用しつつも、工期を大幅に短縮することで建設コストは下げられる」と自信をみせる。

●施設の概要
発電所名テンワスソーラー浅川発電所
所在地福島県石川郡浅川町(旧ガーデンバレイカントリークラブ)
土地所有者永和電力
事業者テンワス(東京都港区)
出力太陽光パネル出力2MW、パワーコンディショナー(PCS)出力1.9MW
年間発電予想量2097MWh(500世帯分)
EPC(設計・調達・施工)サービス事業者坪井工業(東京都中央区)
太陽光パネル台湾AUO製(多結晶シリコン型、8288枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
基礎・架台ドイツKRINNER社製の杭基礎「グラウンドスクリュー」