地中5mまで専用重機でねじ込む
短期施工を可能にしている技術要素の1つが、専用の重機を使った杭基礎の施工だ。これはドイツの杭基礎メーカーのKRINNER社の製品を採用したものだ(図5)。「グラウンドスクリュー」と呼ぶ、スクリュー(ねじ)構造になったアルミ製の鋼管杭を、「グラウンドスクリュー・ドライバー」という専用の重機で地面に深くねじ込んで固定する(図6)。その杭基礎に継手なしで直接、架台を取り付けるので、強度に優れる(図7)。KRINNER社グループはもともと公園などの杭基礎を手掛けてきた。その技術をメガソーラーに応用し、すでに太陽光発電所だけで1000MW以上の実績があるという。
グラウンドスクリューには様々な長さがあり、地盤の状態や設置地域の気候などによって使い分け、地中にねじ込む深さを変える。また、杭と杭の間隔も地盤特性や風況、メガソーラーにおける位置などによって変える。
「ここまで慎重に事前調査するものなのか」。Saferay社の技術者と共に、テンワスソーラー浅川発電所を施工した坪井工業の置塩秀之・環境事業部部長は、振り返る。地面にねじ込む深さや杭と杭の間隔などを決めるため、ドイツから来た技術者たちが、地盤を調べた時のことだ。同じ場所の地盤を天気の違う日を選んで、何度も調べるのだという。こうした事前の地盤調査が非常に重要で、そこがノウハウになっている。