2014年度のEPC/新築時の屋根設置の受注は250MW以上に

大和ハウス工業の濱 隆・取締役常務執行役員 環境エネルギー事業担当 兼 総合技術研究所長(出所:日経BP)

 こうした中で、EPCサービスの受注は、2012年度(2012年4月~2013年3月)は合計出力38MW、2013年度(2013年4月~2014年3月)は同75MW分に達している。この結果、2013年度の環境エネルギー事業部の売上高は200億円以上に拡大した。

 大和ハウスの太陽光発電関連事業には、自社で販売する住宅や倉庫など新築の建築物の屋根への設置もある。EPCサービスにこれらの新築時の屋根設置分を合わせると、2012年度は合計出力113MW、2013年度は同181MWとなる。

 このほか、グループ会社の発電事業者である大和エネルギーの太陽光発電所が、2013年度に合計出力約20MW分ある。これも合わせると、グループ全体で2013年度は同201MWとなった。

 2014年度(2014年4月~2015年3月)は、環境エネルギー事業部のEPCサービスの受注で同約150MWを見込んでいる。販売する建築物の屋根設置と大和エネルギー分を加えたグループ全体では250MW程度に達する可能性がある。

 環境エネルギー事業部の売上高としては、これらの受注残があるために、2015年度(2015年4月~2016年3月)は、この勢いを継続できると見込んでいる。2016年度(2016年4月~2017年3月)以降は、FITの買取価格や、その影響が不透明で、「次の備え」が必要になる。

建築物との相乗効果でコストダウン

――「次の備え」とは。

 まずは、買取価格が20円台前半近くまで下がったとしても、発電事業者が一定の投資効果を生み出せるようなEPCサービスの原価の低減を目指していく。

 大和ハウスの強みが生きる部分で、建設の工業化を目指してきた中で、一定の安全性を維持しながら、安く早く作る技術に長けている。

 建築技術に基づく原価低減策には、基礎や架台がある。例えば、コンクリート基礎を使わず、杭打ちで実現できる場合には、大和ハウスグループ独自の鋼管杭工法「D-TEC PILE」を使っていく。

 比較的小さな口径の鋼管を、回転させながら強固な地盤まで食い込ませることができる工法で、大和ハウスの戸建て住宅や集合住宅向けで長年、実績があり、年間約1万戸に採用している。

 置き基礎、架台、基礎と架台の接合部品などにも、新たな素材の活用から工法まで、建築のノウハウを生かしながら、さまざまなコストダウンの手法を検討している。これらが大和ハウス工業の最大の強みとなっている。

 また、既存の発電システムや関連部材については、建築との相乗効果でコストダウンできているものも多い。建築用で長年、取引している中で、建築向けと太陽光発電向けで、同じ企業から同じ製品を採用し、全体の調達量が増えてきているからである。

 基礎用のコンクリート、架台用の鋼板、太陽光パネルまで、こうして調達力を強めてきている。