接続箱単位の遠隔監視

 不二サッシがオムロンフィールドエンジニアリングをEPC事業者に選んだのは、同社が提供するO&Mサービスを評価したことが大きい。

 オムロンフィールドエンジニアリングは交通管制システムや信号機、駅の自動改札機、金融機関のATM(現金自動預け払い機)などの保守サービスを手掛ける。FITが始まってから、全国の保守ネットワークをベースに太陽光発電の保守・メンテサービス(商品名「ソラモニ」)も始めた(図4)。その核になるサービスが遠隔監視で、出力で20~40kWのパネルを束ねる接続箱単位でモニタリングするのが同社の特徴だ。接続箱ごとに電圧、電流を常時モニターし、日照量や気温から推定される予想発電量との乖離(かいり)を監視する。

図4●ユーザー側のモニター。発電状況のほか当日と翌日、翌々日の予測発電量が表示される
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 不二サッシは発電の確実性を確保する観点から遠隔監視は欠かせないと考えていた。だが、PCS単位の監視では対象になるパネルの数が多すぎて故障個所の特定が難しい。一方、大規模なメガソーラーでは、十数枚のパネルを直流接続した回路(ストリング)単位で監視するケースが増えている。しかし、ストリングごとにセンサーを取り付け、それらを監視するシステムを追加する必要があるため、2MW程度以下の中規模発電所では割高になるという。これに対して対象パネルが数十枚になる接続箱単位の監視は1~2MWクラスのメガソーラーには、費用対効果に優れていると判断した。

 オムロンフィールドエンジニアリングと交わしたO&M契約には、遠隔監視のほか、現地での定期点検、異常発生時の現場駆け付け、10年後のPCS交換などが含まれる。折板屋根に敷き詰めたパネルは普段人目に触れないため、定期的な点検を保守メニューに加えた(図5)。発電システムへの投資額4億円という金額は、こうした保守費用などを初期投資に換算して組み込んだ総額になる。発電開始から20年間に生じ得るリスクの最小化を目指した手堅い運用だが、投資は10年以内に回収できる見込みだ。

図5●太陽光パネルを敷き詰めた折板屋根に人は普段上れない
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発電所の概要
発電所の名称不二サッシ千葉事業所太陽光発電所
発電事業者不二サッシ
所在地千葉県市原市八幡海岸通13
設置タイプ屋根置き
出力1376kW
太陽光パネル米サンパワー 4208枚(327W/枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
EPC(設計・調達・施工)オムロンフィールドエンジニアリング
O&M(保守・メンテナンス)オムロンフィールドエンジニアリング
折板屋根設置金具カナメ
発電開始日2014年3月26日