ヘルスケア業界の新しいビジネスモデルを支えるテクノロジーの1つである「BRMS」(ビジネスルール管理システム)。今回は、医療行為や薬物治療に関するBRMSの活用についてスポットライトを当てていきたいと思います。

人は誰でも間違える

 1999年に、米国医学研究所(IOM: Institute of Medicine)が「To Err is Human(人は誰でも間違える)」というレポートを発表し、米国内で年間4万4000~9万8000人の入院患者が医療事故のために死亡しているというショッキングな内容が話題になりました。さらに2006年の「Preventing Medication Errors(医療ミスの防止)」というレポートの中で、医療上のミスにより毎年150万人の人間が何らかの害を被り、追加の治療費用として病院が35億米ドルのコストを負担しているという内容も発表しました。

 香川県立中央病院院長の太田吉夫氏は、「このレポート(前者)は米政府に対していろいろな提言をしているが、医療現場に直接関係するものとして、“患者安全プログラムの確立”と“安全な薬物療法の推進”の二つがある」と、2014年6月に開催された「第18回日本医療情報学会春季学術大会」(主催:日本医療情報学会)でお話しされています(関連記事)。さらに、処方箋の記述と処方ルールの標準化、医師によるオーダエントリーシステム、薬剤部のソフトウエアの利用、薬剤の選択と処方判断をサポートするシステム、治療現場で役に立つ患者情報を用意するなど、病院情報システムでこれらが実現できることも言及されました。