ガラスの割れも発見できるか

 中部電気保安協会は、小型無人ヘリコプターによる太陽光パネルの空撮画像から、カバーガラスの割れなど物理的な損傷を発見する試みも進めている。この場合、赤外線カメラではなく、通常のデジタルスチルカメラによる画像を使う。

 現在、搭載しているカメラの画像では難しいが、より高解像度のカメラを搭載できれば、ガラスの割れなどを発見できる可能性があるという。実現できれば、目視点検をさらに効率化できる。

 今後、赤外線カメラについても、一定の温度よりも高い温度の太陽光パネルを検出したら、その太陽光パネルを撮影したり、その撮影データに位置情報を付加したりする機能も検討中である。こうした機能を持つ赤外線カメラのコストが下がってくれば、こうした応用が可能になるだろう。

ガイドラインの策定も重要に

 中部電気保安協会が現在、実証試験を重ねているのは、住宅地から離れ、人通りも少ない場所にある太陽光発電所に限定している。万が一、飛行中の小型無人ヘリコプターに何らかのトラブルが生じた場合でも、可能な限りの安全を確保するためである。

 現状の小型無人ヘリコプターにも、GPSの電波を受信できなくなった場合でも、姿勢を制御し続け、出発地点に戻ってくるフェイルセーフ機能を備えている。それに加え、より安全に着陸させる、または、できるだけ安全な場所に墜落させる機能も検証していく。

 また、周囲で使われている無線通信との干渉なども、検討課題になる。これまでにない検査手法だけに、実際の運用に向け、安全面や使用方法などのガイドライン(運用指針)の策定も重要になりそうだ。