太陽光パネルによる上昇気流を避ける

 開発した自律飛行型の小型無人ヘリコプターを使って、実際にメガソーラーを点検するなかで、運用上のノウハウを蓄積してきた。例えば、太陽光パネルの上を飛行する場合の適切な高度についてである。

 太陽光パネルの上では、気流が乱れていることがわかってきた。地表付近の風が、角度をつけて設置した太陽光パネルにぶつかって、上空に向かって吹き上がることが原因となる。

 この気流の乱れが、ヘリコプターの安定的な飛行を妨げる場合がある。マルチコプターは、横方向の風の影響を受けにくいものの、上下方向の風の影響を受けやすい。

 パネルによる上昇気流は、設置角が急になるほど、より強く、より高くなる。中部電気保安協会の検証では、太陽光パネルの直上を飛ばす場合、太陽光パネルよりも30m以上、高い位置で飛行する必要がある。

 さらに、積雪地域などで30度以上の設置角としている場合、パネルから50m程度の高度で飛行する必要があるという。

 また、太陽光パネルの真上ではなく、できるだけ、斜め上を飛行しながら撮影することで、気流の乱れを避けるという方法もある。

 赤外線カメラによる画像は元々、太陽光パネルの正面から撮影することが理想的である。メガソーラーの斜め上空を飛行し、赤外線カメラの角度を調整して熱画像を撮影することが、安定飛行と撮影画像の品質の両面から、より望ましいことがわかってきた。

 そもそも一般的に小型無人ヘリコプターは、風速5m以上になると、飛ばすことが難しくなる。太陽光発電所は、沿岸部など風が強い場所に設置されていることも多く、風の影響をいかに避けるかが、運用上の課題になる。気象予報を参考にしつつ、点検日を延期するなどの対応が必要になりそうだ。

 さらに、カラスなどの野鳥が周辺に多く飛んでいる太陽光発電所で、小型無人ヘリコプターを飛ばした場合、鳥を追い払う効果があるのか、鳥にぶつかって墜落するリスクが高いのかなど、鳥の反応を検証する必要があるという。