中部電気保安協会は、メガソーラー(大規模太陽光発電所)などの電気保安向けに、自律飛行型の小型無人ヘリコプターを使った点検手法の実証を続けている(図1図2)。2014年中に運用を開始する予定という。

図1●開発した自律飛行型の点検用小型無人ヘリコプター
(出所:中部電気保安協会)
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図2●飛行中の点検用小型無人ヘリコプター。2014年中の運用を目指し、実証試験中
(出所:中部電気保安協会)
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 小型の無人ヘリコプターを導入する目的は、広い範囲に設置した多数の太陽光パネルを上空から撮影し、その“航空画像”を分析することで、パネルに生じたトラブルの可能性を発見することにある。太陽光パネルを1枚1枚、歩いて点検して回る従来の方法では、パネルの数が多くなると、膨大な手間と時間がかかる。

 小型無人ヘリコプターを使えば、こうした設置パネルの全数検査を効率化できる。多くの太陽光パネルを写した画像を分析することで、トラブルが生じた可能性のあるパネルを、短時間で特定することを目指している。

 電動式の小型無人ヘリコプターは、空撮や農薬散布などの産業用途に広く使われている。ただし、中部電気保安協会は、メガソーラーの点検用途向けの開発にあたって、採用する無人ヘリコプターに、主に三つの性能を求めた。

 (1)ラジコンなどによる飛行時の遠隔操作が不要で、事前のプログラムに基づき、離陸から着陸まですべて自律的に飛行すること。(2)上空から太陽光パネルを撮影できること。(3)一つの発電所の点検中に電池の交換が不要なこと――の3点である。

 自律飛行を条件にしたのは、太陽光発電所を検査・点検する時に、無人ヘリコプターを安全・正確に操作できる技能を持つ点検員を必ず加えるのは、現実的には難しいからである。ラジコン操作の習熟度に関わらず、誰でも同じように無人ヘリコプターを安全・正確に運用できる必要があった。