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会場の様子

 このうち、生成される膨大な情報の取り扱いについては、特にそれらを蓄積するためのストレージの課題が指摘されることが多い。その上でKetan氏は、「ストレージを上回る一番の悩みになる可能性があるのが、ネットワークだ」と語った。遺伝子解析などの生命科学分野では、さまざまな組織間での共同研究が求められており、ぺタスケールのデータを共有したり移動したりする必要性があるためだと説明した。

東大医科研とも連携

 Ketan氏は前述の課題を踏まえ、「その解決に向けてIntel社は何をしているのか」(同社)という観点から、同社の最近の協業事例を幾つか紹介した。

 例えば、東京大学 医科学研究所 ヒトゲノム解析センター(教授 宮野悟氏)とは、がんのメカニズム理解に向けた遺伝子情報のシミュレーション解析を進めているという。数百ファイルに渡る数ぺタバイトという膨大なデータの解析を実現するために、Intel社のプロセッサーと高速分散ファイルシステム技術(Intel Xeon processor E5ファミリーとLustre)を用いたスーパーコンピューターを導入。遺伝子解析の所要時間を数日間から数時間に短縮したと説明する。

 一方、ドイツの大学病院であるChariteとは、大容量データをメモリーに格納してアクセス速度などを高めるインメモリー技術(in-memory technology)を使用した「リアルタイムがん検査」の構築を進めている。がん患者のリアルタイム解析には、1患者当たり350万データポイント、最大20テラバイトを処理する必要があるという。

 そこで、インメモリー技術に基づくドイツSAP社の解析プラットフォーム「HANA Platform」を利用して、構造化データと非構造化データを結合・分析する。同プラットフォームは、Intel社のプロセッサーで実行されているという。これにより、「これまで2日掛かっていた検査がほんの数秒で可能になった」(Ketan氏)。