トヨタ自動車などとの共同開発も進行中

 この他、現時点ではまだ具体的な施設への導入計画はないものの、さまざまなテクノロジーの開発や実証を進めていると森川氏は説明。例えば、トヨタ自動車とは移乗ロボットの共同開発を進めており、現場で使いやすいように、小型化に向けた改良を図っていると語った。

 具体的には、トヨタ自動車が試作済みの「移乗ケアアシスト」を改良しているという(関連記事)。オリックス・リビングの施設において入居者の身体状態を計測しながら改良に向けた調査を実施し、「人がやるべき部分は機械化しない」という視点によって小型化を進めているとした。

ATRと共同開発している車椅子型ロボット
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 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)との共同開発も進めている。オリックス・リビングとATRなどは2014年3月末、被介護者の移動を支援する車椅子型ロボットの開発を発表した。あらかじめ登録した介護施設などの空間台帳(地図)を基に、自己位置を推定しながら走行できるロボットである。

 例えば、居室と浴室の行き来が半自律的にできるようになるため、「介護者に気兼ねなく自由に移動したいという被介護者のニーズを満たせる」(ATR)上、介護者の時間・身体的負担も軽減できるのが特徴だ。このロボットもまた、前述のオリックス・リビング イノベーションセンターを活用することで改良を進めている。

 こうした介護サービスの提供側からのテクノロジー活用に対する積極的な姿勢は、介護分野でのデジタルヘルス市場の拡大に向けた大きな後押しとなりそうだ。