このシリーズでは、中部電気保安協会の本店 保安部 太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかについて紹介する。同チームがまとめたトラブル事例集を基に、同チームの寄稿によって構成している。

 太陽光発電設備は、稼働前に「竣工検査」を実施します。中部電気保安協会がこの竣工検査を担う場合、事前に入手した施工図面を基に、太陽光発電システム内の回路に流れる電流を調べ、電線(配線ケーブル)の種類、太さが適しているのかどうか、さらに、現場で施工図面の通りに施工されているかを、外観点検によって確認しています。

 今回は、竣工検査の後、系統連系時に立ち会った際、パワーコンディショナー(PCS)と昇圧設備(キュービクル)を接続する、交流側の幹線に使われている電線の太さの不足を発見した例を紹介します。

 この太陽光発電所では、太陽光パネルからPCSまでの試験や測定を、それぞれのメーカーが担当し、中部電気保安協会は、昇圧設備の竣工検査と連系時の立ち会いを担当しました。

 ところが、昇圧設備の竣工検査の時点では、PCSから昇圧設備に至る幹線は接続されていなかったため、連系の立ち会い時に、施工図面と照合することにしました。

 連系する当日、PCSから昇圧設備に至る幹線の電線の太さを照合したところ、施工図面では、太さを200mm2と指定しているにも関わらず、実際には、太さ100mm2の電線を使って施工されていました()。

パワコンと昇圧設備間の電線の許容電流が不足
最大328Aの電流が流れる幹線で、許容電流290Aの電線を誤って接続(出所:中部電気保安協会)
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 間違いの原因は、施工業者が、修正前の施工図面を基に施工したことにありました。その図面では、太さ100mm2の電線を指定していました。このため、後日、最終的な施工図面の通り、太さ200mm2の電線に変更してもらいました。