単純な間違いが売電損失を招く

 もし、この間違いを見落とし、電線の太さが指定より細いままの状態で発電を続けると、どのような問題が生じることが想定されるのでしょうか。

 電線には小さいながら電気抵抗があり、電流が流れると、この抵抗によって発熱し、電気エネルギーの一部が、熱損失になります。この発熱量が大きくなると、最悪の場合、電線を被覆している樹脂が焼損してしまい、短絡などの原因となるため、安全に流せる最大電流(許容電流)が決められています。

 今回の太陽光発電所の場合、PCSから昇圧設備には、最大で328Aの電流が流れる設計となっています。これに対して、太さ100mm2の電線を使った場合、電線の許容電流は290Aしかありません。こうした許容電流を超過した電流が流れ続けると、電線の被覆が焼損してしまう可能性があります。

 電線の被覆が焼損した場合、交換が必要になります。その交換が終わるまでの期間は、発電を止めなければなりません。発電事業者にとっては、売電額の損失になってしまいます。

 「電線の太さが不足していた」という、単純な間違いですが、このような一つの単純な間違いによって、太陽光発電所のオーナーは多大な損失を被る可能性があります。

 こうした損失を、今回の事例のように、施工図面の事前のチェックと、現場での照合によって、防ぐことが重要になります。

(次回は、7月17日(木)に掲載予定)