講演する木曽氏
講演する木曽氏
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 生命科学インスティテュート 代表取締役 常務執行役員の木曽誠一氏は、2014年6月11日に開催された「第1回 健康長寿ループの会」(東京大学 本郷キャンパス)に登壇し、同社が全国の薬局やドラッグストアと協力して2013年4月から展開中のヘルスケアサービス「じぶんからだクラブ」について講演した。講演タイトルは「生命科学インスティテュートが目指すヘルスケア事業」である。

 生命科学インスティテュートは、三菱ケミカルホールディングスグループが医療・ヘルスケア分野の製品やサービスを提供する事業会社として2014年4月に設立した企業である。LSIメディエンス、エーピーアイコーポレーション、クオリカプス、健康ライフコンパスの4社を傘下に持ち、(1)健康・医療ICT事業、(2)創薬・製薬支援事業、(3)次世代医療事業の三つに力を入れている。

 じぶんからだクラブは、健康ライフコンパスが提供するサービス。利用者に街中の薬局やドラッグストアで自己採血してもらい、後日、解析の上でその結果を店頭でフィードバックするというものである。自己採血は、専用キットを使って指先から数滴の血液を採取すればよく、10分ほどで完了する。血液サンプルの解析はLSIメディエンスが担い、肝機能など、生活習慣病にかかわる13項目の検査結果のレポートを、薬局やドラッグストア経由で返却する。毎回の検査結果は、スマートフォンなどで継続的に管理できる。

 生命科学インスティテュートがこのサービスに目を付けたのは、特定健診の受診率が30~40%にとどまっており、その主な要因が「受診が面倒」だという点。そこで「公的な健診を補完するような、“普段使いできる街中の本格セルフチェックサービス”を発想した」(木曽氏)。ここ3年ほど進めてきた実証研究では、店頭セルフチェックの利用者に対して、健診に関する情報を事前に通達。これにより、健診受診率が高まる効果も確認できたという。

 現在までに、東京・大阪・愛知の3大都市圏を含む全国124店舗で同サービスが受けられる体制を整えた。サービス利用料は3000円ほど。「まだ採算の取れる事業ではないが、利用環境を広く“敷設する”ことをまずは重視する。今後、対応店舗を一挙に拡大したい」(木曽氏)とした。