このシリーズでは、中部電気保安協会の本店 保安部 太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかについて紹介する。同チームがまたトラブル事例集を基に、同チームの寄稿によって構成している。

 太陽光発電設備が運用を始める前に「竣工検査」を実施します。この検査で大事な確認項目の一つに、接続箱に記された管理用の番号、集電箱内のブレーカー(配線用遮断器:MCCB)の容量や管理用の番号、直流電路幹線やアース線の太さとなどが、施工図面の通りに設置されているかどうか、照合することがあります。

 今回は、接続箱に記された番号が、施工図面とは異なっていたために、接続箱から集電箱への配線の接続を間違えていた例について、紹介します。

 検査対象となっていたのは、2台の集電箱から、出力500kWのパワーコンディショナー(PCS)に電力を入力する太陽光発電設備でした。当時、竣工検査において、接続箱と集電箱の間の極性を確認していました。この極性は、対象となる接続箱と、その接続箱からの配線が接続されている集電箱内のブレーカーを使って確認します。

 ところが、接続箱1と、その配線が接続されているはずの、集電箱内のブレーカー1の極性を確認したところ、確認できませんでした。

 そこで、接続箱1と、他のブレーカーを使って極性を確認してみました。すると、ブレーカー5を使うと、極性を確認できました。

 こうした場合、施工図面のとおりに設置されていないことが想像できます。今回の例では、施工図面と接続箱に記された番号を照合したところ、接続箱の番号が、施工図面とすべて逆の順序になっていました。施工図面上では接続箱5となっているものが、現地では接続箱1に、施工図面上の接続箱4が現地では接続箱2に、施工図面上の接続箱2が現地では接続箱4に、施工図面上の接続箱1が現地では接続箱5となっていたのです。