原子力発電所の保守管理・放射性物質関連業務を担うアトックス(東京都中央区)が主体となり、長岡技術科学大学、産業技術総合研究所、戸上電機製作所の協力を得て、太陽光パネルを検査するロボット「PVモジュール検査ロボット」の開発が進んでいる(図1)。早ければ来年度にも実用化される予定だ。

図1●アレイを検査中の「PVモジュール検査ロボット」(出所:長岡技術科学大学)
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 開発の主体となったアトックスは、福島第一原発の事故現場で、米アイロボット社の作業用ロボットの操作を担当したほか、2012年度発電用原子炉等事故対応関連技術基盤整備事業のなかで、人が近寄れない原子炉建屋地下1階の原子炉格納容器に付随する部分(サプレッションチェンバー)に磁力吸着して内部の水位を遠隔で測定するロボットを開発した。独自に原子炉建屋内などでの除染作業に対応した遠隔除染装置も開発している。産総研・太陽光発電工学研究センターの加藤和彦氏と戸上電機製作所は、太陽光パネルの検査手法に関する技術や知見を持っている。

 開発の舞台となっているのは、長岡技科大の山田昇准教授の研究室(エネルギー工学研究室)だ。長岡技科大学には、高等専門学校出身者が多く、全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)に参加した学生も多い。長岡技科大自体も「大学ロボコン」に参加し、活躍している。「ロボットの制御技術に関して学内に幅広いノウハウが蓄積している」(山田昇准教授)。山田研究室を中心に複数の研究室がPVロボットの開発に加わった。