4月から3カ月の設備利用率は18~21%

 30社の太陽光パネルを設置したことで、今後、パネルの方式やメーカーによる特性の違いや耐久性など、さまざまな検証が可能になる。30社からの購入を通して、調達コストの違いも分かった。「パネル価格に、これほど大きな差があるとは思わなかった」と、佐々木課長は打ち明ける。1kW当たりの単価は下は約8万円から上は約30万円まで大きな違いがあった。海外製品が相対的に安かったという(図7)。

図7●海外製パネル(カナディアンソーラー)の一例(出所:日経BP)
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 4月の稼働から3カ月経過し、設備利用率の違いも明らかになってきた。設備利用率とは、定格出力で発電し続けたと仮定した時の年間の発電量に対して、実際の発電量がその何割になるかを示したもの。日照の違いに左右されるが、同じ日照の場合はパネル間の発電特性の違いが出る。定格出力は、一定の条件下での変換効率を示すが、設備利用率は時々刻々と変化する日照条件を通じて、いかに発電するかを示す。日射量が減る朝夕の時間帯でも発電量を稼げると、高くなりやすい。発電事業者にとっては、収支を計算する重要な指標になる。

 佐々木課長は、「まだ、稼働して間もない段階で各パネルの正式な設備利用率の実績は公表できないが、約18%から約21%の範囲に収まっている」と話す。国内に設置した太陽光発電システムは、年間では13%前後が平均とされている。ただ、5月に限って見ると、年間を通じて最も発電量の多い時期なので、西日本など地域によっては22~23%になることもある。その意味では、現時点で18~21%という数値は平均的な水準と言える。