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ディー・エヌ・エー(DeNA)は2014年6月3日、個人向け遺伝子検査サービスを始めることを発表した。(写真は日経デジタルヘルスが撮影)

 遺伝子解析技術の汎用化や低価格化を背景に、個人向け(Direct to Consumer:DTC)の遺伝子検査サービスが広がっている(関連記事1:DeNAがヘルスケア分野に参入、第1弾として遺伝子検査サービス「MYCODE」を開始、関連記事2:ヤフー、遺伝子解析サービスのモニター募集を開始)。

 その多くが利用者から送られてくる唾液や口腔粘膜(医療機関を介する場合は血液)からDNAを抽出し、チップなどで一塩基多型(SNP)などを解析。太りやすさやアルコール代謝の強さといった体質、骨粗鬆症や動脈硬化などの疾患易罹患性の評価結果を利用者に返却する。

 医師法の診断行為に抵触する可能性があることや、遺伝カウンセリングの体制が整っていないことなどから医療とは一線を画し、単一遺伝子疾患や精神疾患、薬物代謝関連のSNPを除いてサービスを提供しているところがほとんどだ。

医薬・健康市場でのビジネス展開探る企業

 DTCサービスの核となるのは、SNP解析の結果から体質や疾患易罹患性の評価結果を導き出すためのアルゴリズムだ。論文などを参照し、体質に影響する因子や疾患のリスク因子として報告されているSNPの中から解析対象を選別。報告されているオッズ比やSNPの頻度などから、「骨密度が低くなりやすい」といった定性的な評価結果や、「骨粗鬆症に日本人の平均より1.2倍なりやすい」といった定量的な評価結果を導き出す。

 こうした独自のアルゴリズムを開発し、サービスを提供している国内企業は10数社程度しかない。ただ、化粧品やサプリメント販売店、スポーツ用品店、フィットネスクラブ、インターネットの健康サイトなど、サービス提供企業の受付窓口を務める取次・代理店はあまたあり、代理店自身も化粧品やサプリメント、運動プログラムの販売促進に、DTCサービスの評価結果を利用している(図1)。

図1 DTCサービスの流れ(図:日経バイオテクが作成)
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 サービス提供企業と提携し、受診者の集客や生活習慣の指導にDTCサービスを活用する美容外科や歯科、健診を手掛ける医療機関も多い。海外のサービス提供企業が国内の代理店を通じてDTCサービスを提供するケースも増えている。