ウエアラブル 身に着ける機器の今と未来を探る
 

生活習慣病予防に求められるウエアラブルとは

横浜市立大学医学部 社会予防医学教室の杤久保氏に聞く

小谷 卓也=日経デジタルヘルス
2014/06/03 00:00
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 政府の成長戦略でもある「健康長寿社会の実現」。それに向けて大きなテーマとなる生活習慣病予防の観点から、ウエアラブル技術の必要性を説くのが、横浜市立大学医学部 社会予防医学教室 特任教授(名誉教授)の杤久保修氏だ。

 2014年6月11日に開催されるデジタルヘルスAcademy「『ウエアラブル』の本質を議論する」において、「生活習慣病予防に求められるウエアラブルとは ~健康長寿社会の実現に必要な技術~」と題して講演する杤久保氏に、生活習慣病予防とウエアラブル技術について聞いた。

(聞き手は小谷 卓也=日経デジタルヘルス)


――予防医学の医師としての立場から、生活習慣病予防システムの必要性をどう見ていますか。

横浜
杤久保氏

 人口構成が大きく変わり少子高齢化が進み、そして国民医療費の高騰という財政的な社会課題も深刻になってきた。今の医療システムでは追い付いていかないことは明らかだ。

 こうした中で、予防医療の重要性が高まるのは言うまでもないが、私は特に「健康寿命」という点を強く意識すべきだと考えている。現在の健康寿命は、おおよそ「寿命-10年」とされている。つまり、この10年の間にかなりの医療費が掛かることになる。逆に言えば、健康寿命を長くすれば、医療費の削減につながる。

 この「10年」の内訳としては、実は、脳卒中で寝たきりになるという要因がかなり大きい。脳卒中は、予防が効果を果たす疾病だ。生活習慣病予防システムの必要性がここにある。

――その生活習慣病予防システムに、ウエアラブル技術への期待があるということですね。

 現在の医療は「点」の医療であり、時間とともに変化する患者の状態を追い掛けられていない。例えば血圧については、常に変動している。ある1点の測定だけでは、正確な予防医療につながらない。それを可能にするのが、ウエアラブル技術だと考えている。

 血圧以外にも、例えば、塩分摂取量の管理は生活習慣病予防にとても重要な要素だ。食塩の摂取量を毎日2g減らせば、脳卒中に罹患する確率が6%減るとされている。しかし、普通に生活していたら、食塩を何g摂取しているのかなど分からない。こうした管理を容易にする技術も今後は求められる。

――その他にも必要だと感じるウエアラブル(センシング)技術はありますか。

 ストレスも生活習慣病予防に重要な要素だ。ストレスと大きな関連がある睡眠状態を測定できるウエアラブル技術は有用だろう。さらに、尿にも注目している。尿からは、単に病気の有無だけではなく、代謝が分かる。つまり、尿を定期的にモニタリングすれば、生活習慣病予防につながる。こうした尿センシングの技術もほしい。

 将来的には、血液の状態をモニタリングできるウエアラブル技術が登場してくれば、より効果的な予防医療の実現につながるだろう。

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