このシリーズでは、中部電気保安協会の本店 保安部 太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかについて紹介する。第5回からは、同チームがまとめたトラブル事例集を基に、同チームの寄稿によって解説している。

 今回紹介する事例は、太陽光パネルを十数枚単位で直列に接続した「ストリング」において、接続した太陽光パネルの枚数が間違っていたケースです。

 太陽光パネルの能力を十分に引き出すためには、ストリングごとに直列に接続する太陽光パネルの枚数を、できる限り揃えることが基本です。

 ところが、接続の誤りによって、直列で接続した太陽光パネルの枚数が不揃いだった例がありました。太陽光発電設備が運用を始める前に実施する「竣工検査」の際に発見しました。

 今回の事例も、第7回第8回と同じように、ストリングの開放電圧の測定によって、異常な電圧を検出し、その原因を探るための外観検査によって、ストリング内の太陽光パネルの接続間違いを発見しました。

 あらかじめ施工業者から入手していた設計図面には、太陽光パネルを10枚、直列に接続して一つのストリングを構成するように記されていました。この場合、設計通りにストリングが構成されていれば、ストリングごとの開放電圧は、日射量と太陽光パネルの温度によって若干の開きは生じるものの、390V前後となります。

 しかし、この太陽光発電システムの竣工検査の際、接続箱でそれぞれのストリングの開放電圧を測定してみると、ストリング1は350V、ストリング2は430V、ストリング3は350V、ストリング4は390V、ストリング5は390Vなどとバラついていました。

 ストリング1、ストリング2、ストリング3の測定値については、中部電気保安協会が定めている誤差の判定基準をオーバーしています。