約35億円の建設費、子会社を通じ第一生命から調達

 清水建設グループにとって、太陽光発電事業は初めてだったが、メガソーラーのEPC(設計・調達・建設)サービスには取り組んできた。青森県六ヶ所村に建設中の出力約116MWの案件や、岡山県瀬戸内市の錦海塩田跡地での約250MWの案件など、国内最大級のメガソーラーでも、EPCサービスを担う予定となっている。

 赤穂太陽光発電所の発電事業者は、清水建設の出資するSPC(特定目的会社)、赤穂太陽光発電(東京都中央区)となる。約35億円の事業費は、清水建設の金融子会社、清水ファイナンスから調達した。

 清水建設グループでは、建設などに必要な資金を、清水ファイナンスが提供している。清水ファイナンスは、今回必要な資金を第一生命保険から調達した。初期投資は約7年間で回収できる見込み。

「10MW以上では必須になる」統合システム化

 赤穂太陽光発電所では、発電状況や発電量の予想などに必要な、さまざまなシステムを一つに統合した。システムを統合している以上、データの通信方法も統一され、1本の光ファイバーで、すべてのデータを送信している。こうしたシステムは珍しい。

 多くのメガソーラーでは、発電状況を把握するため、太陽光パネルを十数枚単位で直列に接続した「ストリング」ごとや、パワーコンディショナー(PCS)ごとに発電状況を監視している。

 また、先進的なメガソーラーでは、連系する電力系統側を監視するシステムや発電量を予測するシステム、動画を使ったITV監視システム(産業用監視システム)、セキュリティ監視システムなどを導入する例も出てきた。

 こうした複数の監視システムを導入する場合、従来、それぞれのシステムが採用している通信方式でデータを送信していた。個別のシステムや通信用ケーブルの導入コスト、メンテナンスの手間が課題だった。

 赤穂太陽光発電所では、これらのシステムを一つに統合し、送信は1本の配線で可能とした。ビルエネルギー管理システム(BEMS)を応用した。複数の監視・解析システムや大容量のデータを一つの管理システムに統合することで、データの送受信を高速化し、コストを下げるのが目的だ。

 10MW以上の規模のメガソーラーなら、統合システムのコストメリットが期待できる。今後、このクラスのメガソーラーでは、導入が必要条件になってくるだろうという。

 例えば、現在、このシステムを使って、メガソーラー全体の地図上に、1分間ごとに計測するストリングごとの発電状況を色分けしてリアルタイムに表示し、一目で状況がわかるようにしている(図2)。

図2●フル出力に近づくほど赤味が増すように色分けし、ストリングごとの発電状況を一目でわかるように表示
2014年4月8日の発電状況の例。左上が7時45分ころ、右上がフル出力となった10時50分ころ、左下が出力が落ち始めた14時20分ころ、右下が発電がほぼ終わりつつある17時30分ころ(出所:清水建設)
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 もし、トラブルが生じて、発電量が大きく低下しているストリングが出てきた場合、色の違いで容易に把握できる。天候の変化、温度、日射量などの情報を発電量の予測と比較できる機能も備えており、今後、予測の精度をさらに高める。