「再生可能エネルギーのまち」を決議

 中之条電力には、中之条町が60%、V-Powerが40%を出資して設立した。V-Powerは、中之条電力の運営をサポートする役割を担っている。バイテックは、地方自治体に対して、「エネルギーの地産地消」をコンセプトに地域活性化を提案する事業戦略を打ち出しており、中之条町がその第一弾となった。再生可能エネルギーによる発電設備の建設から運営、資金計画、電力売買など、ワンストップで提案できるのが強みだ。そのための企業としてバイテックローカルエナジーを設立した。

 一方、中之条町が新電力を設立して、「エネルギー地産地消」に乗り出したのは、2013年6月に議会で決議した「再生可能エネルギーのまち中之条」宣言を受けたものだ。東日本大震災を機に、原発に代わるエネルギーを開発するのは自治体の責任という全国的な動きと共に、再生可能エネルギーの開発、活用を通じて、地域を活性化したいという思いが背景にある。中之条町の主力産業は農林業。だが、その衰退に歯止めがかからず、現在約1万7800人の人口は、30年後には9000人を割るとの予想もある(図5)。

図5●中之条町の人口推移。平成22年に六合村を合併した(出所:中之条町の資料を基に日経BP作成)

 メガソーラーを手始めに、小水力発電と木質バイオマス発電の検討を進めている。将来は、畜産バイオマス、地熱・温泉熱の利用、風力発電にも取り組むことで、豊かな自然を継承しつつ、農林業などの地域経済を活性化させたいという狙いがある。