このシリーズでは、中部電気保安協会の本店 保安部 太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかについて紹介する。第5回からは、同チームがまとめたトラブル事例集を基に、同チームの寄稿によって解説している。

 第6回第7回に続いて、接続箱とパワーコンディショナー(PCS)を接続する配線(直流電路幹線)のミス(誤結線)について、紹介します。

 今回紹介する事例は、その中でも、最も多く発見しているものです。太陽光パネルを十数枚単位で直列に接続したストリングから、接続箱やPCSが備える「ストリング開閉器」の太陽光パネル側(1次側)への配線で、プラス(P)とマイナス(N)の極性が、逆に接続されていたケースです。

 施工時に、プラスとマイナスの極性を、間違えて逆に接続してしまう原因の一つには、配線を接続する作業員の手間の多さがあります。例えば、出力1MWの太陽光発電所において、ストリングの回路数は300以上に達します。それらを一つ一つ開閉器に接続する作業は、単純ではありますが、手間がかかるものです。

 こうした接続のミスを、太陽光発電設備が運用を始める前に実施する「竣工検査」において発見し、改修してもらうことが、中部電気保安協会が竣工検査を担った際の、重要な仕事の一つになっています。

 今回の接続ミスは、第7回と同様、この竣工検査における、ストリングの開放電圧測定によって発見しました。

 ストリングの開放電圧測定は、中部電気保安協会が竣工検査を担う際の試験項目の一つです。開閉器によってストリングを開放し、その時の直流電圧を測定することにより、太陽光パネルが正しく接続されているか、あるいは故障がないかなどを確認します。

 ストリングごとに測定した開放電圧が、太陽光パネルメーカーが規定している基準の範囲内に収まっているかどうかはもちろん、ストリングごとの接続のプラス、マイナスの極性が正しいことを確認し、太陽光パネルの接続不良や接続の誤りなどを検査します。