人間の身体や疾患に関わるさまざまな情報を収集し、その膨大なデータを個別化医療の実現などにつなげる“医療ビッグデータ”。この分野にとりわけ大きな期待を寄せるのが、ストレージ業界である。

 業界大手の米EMC社は、医療ビッグデータの可能性をどう見ているのか――。EMC Isilon Storage Divisionでライフサイエンス分野のCTOを務めるSanjay Joshi氏(EMC Isilon Storage Division, Life Sciences, CTO)に聞いた。EMC Isilonは、スケールアウトNAS(network attached storage)大手の米Isilon Systems社をEMC社が2011年に買収して誕生した事業部。Joshi氏は分子バイオテクノロジーの博士号を持ち、ドイツSiemens社でX線診断装置の開発に携わった経歴などを持つ。

(聞き手は大下 淳一=日経デジタルヘルス)

――EMC社において、医療分野のビジネスはどの程度の規模に育っているのですか。

emc
Sanjay Joshi氏(写真:加藤 康、以下同)

 EMC本体(EMC Isilonを除く)のヘルスケア分野の事業規模は既に10億米ドルを超えました。EMC Isilonもライフサイエンス分野で250社以上の顧客を獲得しており、同分野で合計約300P(ペタ=1015)バイト分のストレージを提供しています。

 EMC Isilonにおいて、ライフサイエンス分野とヘルスケア分野を合わせた事業規模は、メディアエンタテインメント分野と同等にまで成長しています。最大の事業セグメントになる日も近いでしょう。そもそもEMC Isilonの最初の顧客は、地元シアトルのがん治療の研究機関でした。