NPO法人 医療福祉クラウド協会(Medical Welfare Cloud Association=MeWCA)が、2014年5月15日、「MeWCAシンポジウム2014」を都内で開催。「介護クラウドが切り開く日本の未来~超高齢社会に向けて医療と介護をつなぐ~」をテーマに、ICT活用による医療・健康管理の変革や医療・介護連携ついて講演やパネルディスカッションが展開された。

医療ビッグデータ活用の本質とは…

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基調講演する東京大学の稲田修一氏

 基調講演に登壇した東京大学先端科学技術研究センター特任教授 稲田修一氏は、「医療・健康管理を変えるビックデータ活用」と題し、ビッグデータ活用による医療や健康管理の変革、その実現に向けて提言した。

 稲田氏は、国内外で始まっているビッグデータを活用して健康管理・医療を改革する新たな取り組み例を紹介しつつ、アンジェリーナ・ジョリーの乳がん予防のための乳房切除・再建手術に触れ、遺伝子に関する医療ビッグデータによる医療ビジネスの革新が始まっていると説明。「このニュースは医療ビッグデータという観点から見ると、これから起こる医療革命の本質を表すと思っている。遺伝子検査と遺伝子変異の影響に関する医療データの蓄積により、病気になる確率がわかる時代になる。病気になる前に予防するという選択肢を選べる時代である」(稲田氏)と説いた。

 また、健康管理・医療ビッグデータ活用の本質は、研究開発の領域が疾病の解明から健康寿命を延ばすことを目的に健常人を対象とした生活習慣と疾病の関係性分析、その予防・早期治療へのシフト。データの大量蓄積・分析により、カスタマイズした治療や診断を可能にする一人ひとりに最適なテーラーメイド医療の実現につながると指摘。一方で、医療行為のデータを収集・蓄積し、分析することにより、医療診断の正確性、治療の適切性など医療の品質評価・改善が見込め、治療法のベストプラクティスの早期発見と改善が進むと強調した。

 そして、健康管理・医療ビッグデータ活用を加速させるポイントとして、(1)容易にデータ処理できる形式による一人ひとりの医療・健康データの一元化とその集積、(2)健康管理や予防医療推進に対するインセンティブの付与、(3)医療機関、介護施設、在宅サービス、健康管理サービス提供者、家庭等の連携推進、(4)健康管理・医療ビッグデータ活用のメリットに関する国民理解の向上の4点を挙げた。