このシリーズでは、中部電気保安協会の本店 保安部 太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかについて紹介する。第5回からは、同チームがまとめたトラブル事例集を基に、同チームの寄稿によって解説している。

 第5回第6回に続いて、「竣工検査」において、外観検査で発見した不具合の事例を紹介します。竣工検査とは、太陽光発電設備が運用を始める前に実施する検査です。竣工検査の目的の一つは、発電システムに生じるトラブルを未然に防ぐことにあります。

 今回、紹介するのは、太陽光パネルを十数枚単位で直列に接続したストリングから、電力を集める装置である「接続箱」までの配線の接続を誤っていた例です。竣工検査時の電圧測定において、不具合を発見しました。

 中部電気保安協会が竣工検査を担う際の試験項目の一つに、ストリングの開放電圧測定があります。ストリングの開放電圧測定では、開閉器によってストリングを開放し、その時の直流電圧を測定することにより、太陽光パネルが正しく接続されているか、あるいは故障がないかなどを確認します。

 ストリングごとに測定した開放電圧が、太陽光パネルメーカーが規定している基準の範囲内に収まっているかどうかはもちろん、ストリングごとの接続のプラス、マイナスの極性が正しいことを確認し、太陽光パネルの接続不良や接続の誤り(誤結線)などを検査します。

 この測定によって、ストリングの開放電圧に異常があることを見つけることがあります。今回の例の場合、その原因を探ると、ストリングのケーブルの誤結線を発見できました。