一つは、PCS単体で、一時的に定格を上回る出力を可能とする「過負荷運転」と呼ぶ技術です。ここでは、過負荷に伴う最適設計と高耐電圧技術が重要になります。例えば、TMEICの630kW機の場合、550~950Vまでの広い範囲の電圧で、電流と電圧を最適に制御して最大の電力量を確保する変換技術(新3レベル方式)や、MPPT制御(最大電力点追従制御)によって、750kWを出力できます。
もう一つは、複数のPCSの出力状況を監視しながら、メガソーラー全体の出力を最大化する制御技術です。複数のPCSを統合して監視・制御するシステムで、海外では「メイン・サイト・コントローラ」と呼ばれています(図)。
元々は、電力配電網を安定化させるために、電力会社からメガソーラーに対する出力制御として有効電力(発電電力)や無効電力(第13回、第14回)をリアルタイムで制御することで電力品質を担保することを目的に開発されたシステムです。
この二つの制御技術が揃うことで、定格以下の出力のPCSが出てきた時には、ほかのPCSを過負荷運転させることで補填し、メガソーラー全体で、系統連系できる最大出力を維持しながら、系統の電力品質安定化にも寄与できます。
(次回は、5月28日(水)に掲載予定)