「3電池システム」で、太陽光で電力を自活
災害時に所内電源系統が停電した場合、まず非常用エンジン発電機が稼働し、事務所棟内の執務エリアの一部と当直室、非常対策本部に限定して電力を供給する(図7)。490ℓの軽油タンクが満タンで、定格出力104kWのエンジン発電機の負荷50%であれば、約24時間、電力を供給できる。燃料電池コージェネシステムは、系統連系が前提なので、この場合、電気と熱は供給できず、太陽光の電力は蓄電池の充電に使う。
24時間経過し、所内電源系統が復旧せずに軽油を使い切ってしまった場合、もはやエンジン発電機は動かない。その場合、非常対策本部と当直室に限定して、蓄電池が放電する(図8)。3.5kWの負荷であれば、満充電なら約7時間、電力を供給できる。日中、晴天であれば、太陽光パネルが発電し、蓄電池に充電するので、その分だけ、長時間、電力供給できる(図9)。
JX日鉱日石エネルギーは、「省エネ」「再エネ」「自立」をキーワードとする「ENEOS創エネ事業」を推進し、自立・分散型エネルギー社会の実現に取り組んでいる。東日本大震災で被災した仙台製油所は、逆境をバネにメガソーラーと新エネルギーシステムを構築し、こうした事業戦略を目に見える形で示している。
名称 | 仙台製油所メガソーラー |
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完工 | 2013年2月25日送電開始 |
出力規模 | 約1MW |
所在地 | 仙台製油所西地区(宮城県多賀城市) |
敷地面積 | 1.8万m2 |
発電事業者 | JX日鉱日石エネルギー |
EPC(設計・調達・施工) | JXエンジニアリング |
太陽光パネル | 長州産業製、サンパワー製、インリーソーラー製、トリナソーラー製 |
パワーコンディショナー(PCS) | 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製 |
3ページ目最後の文で、「事務所棟内のすべての負荷をまかなえる」としていましたが、「製油所内の電源系統と連携することで、事務所棟内のすべての負荷をまかなえる」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2014/5/13]