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設計・生産 ものづくり現場の競争力アップに貢献する
 

10年持たないなら、5年以内に買い替えさせる

ニーズが変われば、造るプロセスも変わるはず(第5回)

吉川良三=東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センター
2014/06/06 00:00
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出典:日経ものづくり「サムスン競争力の研究」、2013年6月号 、pp.70-73 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 Samsung Electronics社の、多様な要求品質への対応力を示す典型的な例が有機EL(electro-luminescence)ディスプレイだ。Samsung Electronics社や韓国LG Electronics社は有機ELの利用で日本メーカーよりも先行している。有機ELは輝度が高いにもかかわらずエネルギ消費量が少ない上に、フィルムが不要で薄く造れるといった、現行の液晶パネルやプラズマ・ディスプレイ・パネルをしのぐメリットがある。ところが、経年変化で劣化するという難点がある。有機ELは電圧を与えたときの輝度に優れるが、有機物だからやがて変質して、輝度が大きく落ちてしまう。

 日本メーカーの考え方では、耐久性の面で品質が不足しているのだから、それを解決してから搭載すべきということになるだろう。だが、Samsung Electronics社は既にスマートフォンに有機ELを多用している。ユーザーが10年は使う製品への実用化は難しくても、数年以内にほとんどが買い替えられるスマートフォンには十分使えるという、耐久品質に関して割り切った考えを持つためだ。

 日本メーカーが耐久性を気にするテレビでも、55インチ型の有機ELディスプレイを使った製品を出すことでSamsung Electronics社とLG Electronics社が競争しているが、おそらく5年以内にユーザーが買い替えられるような製品に仕立てるのではないかと思う。現に、「スマートテレビ」と呼ばれる新しい分野の製品がある。インターネットや双方向通信ができるという特徴はあるが、実態としてパソコンのディスプレイを42インチ型まで大きくしたものと何が違うのかがよく分からない。しかし、スマートテレビなどという名前を付けて、いろいろな機能が次々と進歩するというワクワク感を演出することで、新しいもの好きのユーザーを中心にアピールするわけだ。これならば商品寿命はそれほど長くないから、経年変化に弱い現在の有機ELディスプレイでもカバーできる。

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