ニーズを把握したら、それを実現する手段はリバース・エンジニアリングだ。リバース・エンジニアリングを用いれば、既存の技術を組み合わせることによって製品を開発できる。それでワクワク感を出せばよい、と割り切っている点が、多くの日本企業の技術者にはない視点だろう。

 このリバース・エンジニアリングでは、スタート時に日本メーカーの製品を持ってくる。ただし、日本メーカーが出す、機能てんこ盛りの製品をそのままコピーするのではなく、機能単位に分解して再構成する。これにより、新たな技術を開発せずに多様な製品を生み出すのだ。部品も独自開発するのではなく、汎用部品ばかりを組み合わせることで、短期間に設計する。

 ここで、単純にもの真似をするのなら、ただのコピー商品にしかならない。製品の形や構造をそのまま真似るのではなく、機能まで戻って、その機能がなぜ設けられているのかを検討する。その上で、要らない機能を外したり、あるいは冷蔵庫のカギのように機能を追加したりして、派生モデルを造り出す。

 こうした手法で新興国で実績を築いた後、2004年ごろからは日本の技術者も相当入社するようになってきたため、先進国向けの高級品も造れるようになった。前述の、ワイングラスをモチーフにした薄型テレビなどがその典型例だ。現在では、先進国においてもかなりの収益を得ていることは言うまでもない。