産業拡大に三つの要件

 最後に、今後の医療機器産業の拡大に向けた要件を整理したい。大きく三つある(図3)。

図3 医療機器産業の今後の方向性
今後は、(1)医療保険市場の流動化、(2)自由市場の拡大、(3)海外市場への展開、が求められる。(図:JIRAの資料を基に本誌が作成)
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 第1は、診断・治療といった従来の医療保険市場自体の活性化や流動化が進むことである。そのためには、前述の薬事法改正による、医療機器の迅速な審査・承認が不可欠だ。加えて、新技術を利用した医療機器に対して、適正な保険点数の加算(診療報酬の償還)が進むことも重要である。

 第2は、医療保険市場の枠外にある自由市場の拡大である。予防医療や健康増進といった仕組みが構築されていけば、新たな概念の医療機器・ヘルスケア機器の市場創出も期待できる。

 第3は、海外市場への展開である。日本の開発・製造技術を基にした医療機器が、世界的にも評価される医療技術(医療機関、医療関係者)と一体となって、海外市場でのシェアを拡大させていくことが不可欠である。海外の医療関係者や研究者を積極的に受け入れるといった医療分野の国際交流も必要だろう。