図2●無意識行動の事例
筆者が駐車場に車を停めた後、隣のクルマにドアがぶつからないように降りる時の降り方を検証した事例。体を運転席の右から滑り出すようにして降りるのが一般的(a)。ところが筆者は、体の向きを右後方に変えて降りていた(b)。しかも、降りた後は、右回りに約90°、回転している(c)。分析の結果、左利きであることがこのような降り方に関係していることが分かった。
[画像のクリックで拡大表示]

 その駐車場は、隣のクルマとの間隔が狭く、運転席のドアが隣のクルマとぶつからないように注意して降りなければなりません。こうした状況においては、多くの人は右手でドアを押さえつつ、体を右にずらしながら降ります〔図2(a)〕。ところが私はといえば、体を右にずらすのではなく、約90°右回りに向きを変え〔図2(b)〕、降りると同時にさらに約90°右回りに回転していました〔図2(c)〕。普通の人がほぼ前を向いているのに対し、私はほぼ真後ろを向いて降りていたのです。

 最初にこの様子を観たときは、自分でもなぜこんな余計な動作をしているのか分かりませんでした。しかし、さまざまな視点で繰り返し観るうちに、その理由が分かってきました。

行動は言葉より正直

 それは、私が左利きであることでした。クルマを降りる際、運転席のドアが隣のクルマにぶつからないように、私は無意識のうちに利き手である左手で押さえていました。その結果、右手で押さえている人のように右にずれるという動作ができず、半回転していたのです。

 この行動を「左利きの人の特別な行動」と捉えることは簡単です。しかし、ドアを押さえるという行為さえなければ、こんな余計な動作を強いられる必要はありません。そこで例えば、「ドアの開き具合をワンタッチで、任意の位置にロックできる機能が装備できないか」といった新しい発想に結びつけることができます。