瀬戸内海沿岸に位置する山口市の秋穂地域は、のどかな田園が広がる。ウエストホールディングスが建設し、2013年8月に竣工した、出力1.4MWの「山口市秋穂メガソーラー発電所」は、海に面した平野部にある(図1)。メガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設が相次ぐ山口県内にあっては、一見すると2MW前後の平均的な発電設備に見える。だが、実は「国内初」の特徴を持つ。

図1●「山口市秋穂メガソーラー発電所」の全景
(出所:ウエストホールディングス)
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 それは、国内のメガソーラーで初めて、国際規格の第三者認証を取得したことだ。国際電気標準会議(IEC)の規格「IEC62446」(受け渡し試験と目視試験及び付属書類のための最小要求)に基づき、認証・試験を手掛けるドイツのテュフズードの日本法人・テュフズードジャパン(東京都新宿区)の審査を2013年11月から受け、2014年2月14日に第三者認証を取得した(図2)。「IEC62446」とは、系統連系した太陽光発電システムが完成時に満たすべき検査と試験、備えておく文書に関する最低限の要求事項を示した国際的な規格だ。太陽光パネルなどの製品単体の規格と違い、太陽光発電システム全体の適格性や信頼性を評価するのが特徴だ。

図2●テュフズードジャパンからIEC62446の認証を取得した
(出所:日経BP)
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 ウエストホールディングスの荒木健二執行役員は、国際規格の第三者認証を取得した経緯について、2つの理由を挙げる。同社は、創業から30年以上、太陽光発電システムを建設してきた。しかし、「これまでの事業主体は住宅用の数kWのシステムだったのに比べ、メガソーラーの出力規模は桁が違う。急速に市場が拡大したこともあり、勉強しつつ走りながら技術を蓄積してきた。その設計や施工方法が、国際規格を基準に第三者から客観的に評価してもらい、間違っていないか、確認したかった」のが1つ。そして、2つ目は、「今後の事業展開を考え、バンカビリティ(融資適格性)を高めるためにも、メガソーラーの設計・建設の品質・信頼性に関し、国際的な認証・試験会社からお墨付きを得ることで他社と差別化する」ことを狙う。