「中国市場は、検索サービス会社のBaidu社(百度)が端末ビジネスに参入するなど、動きが激しい。まだ手探りの状態なので、まずは大手端末メーカーの採用実績を増やしていく」。こう語るのは、パナソニック デバイス社の榎並氏だ。グラファイト製の放熱シートや全層IVH構造の多層基板「ALIVH」といった高性能部品を基軸に、中国事業の展開を進めるという。

 特にALIVHについては、中国でも大手メーカーを中心に高密度実装の需要が増えることを見越して、増産を急いでいる。2012年4月()には月産350万台の生産能力を持つベトナム工場を新設した。既設の台湾工場も、月産1000万台だった生産能力を2012年末までに1800万台に引き上げる。

パナソニック デバイス社 業界マーケティングセンター所次長の榎並英明氏(写真左)、同社の主力製品である全層IVH構造の多層基板「ALIVH」(右)
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 将来の中堅・新興の端末メーカーからの需要増にも対応するべく、中国地場の基板メーカーにALIVHの技術をライセンス供与することも検討している。既に日本とオーストリアの基板メーカー2社に技術供与しているが、さらに中国を含めた2~3社と交渉中のもようだ。ライセンスしたALIVHは供与先の製品として販売され、パナソニックは売上高に応じたライセンス収入を得る。スマートフォン向けの全層IVH構造の多層基板の世界市場に占めるALIVHのシェア(技術供与先の製品も含む)を、現在の20%から2015年に50%まで高める計画である。

セイコーエプソン マイクロデバイス事業部 TD営業部 部長の山口大介氏

 スマートフォン向けに水晶振動子などを手掛けるセイコーエプソンは、中国での音叉型振動子やAT振動子などの販売を拡大するべく、2012年春、四川省成都市の拠点にデバイスを担当する営業部隊を配置した。セイコーエプソンの山口氏は「成都の事務所はもともとプリンターなど完成品の営業拠点だったが、中国内陸部でもスマートフォンなどの部品の需要が高まっていることを受けて、デバイスの部隊を新設した」と説明する。このほか、上海や深圳などの拠点でもデバイスの人員を増強しており、顧客サポートの強化に向けてFAE部隊を増やした。