中国でスマートフォンの販売が好調だ。売れ筋は中国製の安価な製品。新規参入も増え、メーカー同士の競争が激化している。香港在住の専門家が、中国でのスマートフォンの実像をレポートする。(本誌)

山根 康宏
携帯電話研究家

 「スマートフォンが今なら実質無料で買えますよ」。日本では当たり前の光景が、今や中国でも同様に繰り広げられている。

図1 事業者各社はスマートフォンを無料で販売
中国移動は、総加入者数6億を超える世界最大の携帯電話事業者である(a)。カバーエリアの広さで独走しているが、3Gでは競合2社との競争が激化しており、スマートフォンの販売に力を入れている。回線契約はプリペイド方式だが、24カ月などの長期契約により端末を実質無料で提供している(b)。
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 中国には中国移動、中国連通、中国電信と大きく三つの携帯電話事業者がある。各事業者の店舗で目立つのが「0元」、すなわち無料端末の広告だ(図1)。中国連通と中国電信では米Apple社のiPhoneも取り扱っているが、店舗を訪れる消費者が群がっているのは安い端末のコーナーである。端末単体の定価は1000元台、日本円で1万円~2万円程度。中国では今、この価格帯の「1000元スマホ」が大人気になっている。