中国でスマートフォンの販売が好調だ。売れ筋は中国製の安価な製品。新規参入も増え、メーカー同士の競争が激化している。香港在住の専門家が、中国でのスマートフォンの実像をレポートする。(本誌)
山根 康宏
携帯電話研究家
「スマートフォンが今なら実質無料で買えますよ」。日本では当たり前の光景が、今や中国でも同様に繰り広げられている。
中国には中国移動、中国連通、中国電信と大きく三つの携帯電話事業者がある。各事業者の店舗で目立つのが「0元」、すなわち無料端末の広告だ(図1)。中国連通と中国電信では米Apple社のiPhoneも取り扱っているが、店舗を訪れる消費者が群がっているのは安い端末のコーナーである。端末単体の定価は1000元台、日本円で1万円~2万円程度。中国では今、この価格帯の「1000元スマホ」が大人気になっている。