改善提案で不良率は30%から数%に低下

 製品設計に関しては、元々両社が生産していた製品をベースに、水分の侵入を防ぐ密封性を一層高めるなどの改良も加え、PID現象の防止にも配慮している(図4)。中国メーカーと提携したOEM生産で問題になりやすいのは、生産段階での品質管理だ。ネクストエナジーでは、大量の中古パネルを検査する中で、「最も不具合が出やすいのは、セルとセルをつなぐハンダ付けでの接合不良」という経験を得ていた。そこで、ハンダ付けの工程で品質管理を強化した。太陽光パネルのハンダ付け工程は、中国の工場でも手作業から自動化に移りつつあるが、生産委託した2社は手作業の工程も残っている。

図4●ネクストエナジー製太陽光パネル(6インチ単結晶モデル)
(出所:ネクストエナジー・アンド・リソース)
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 そこで、生産委託先の工場でまずハンダ付け工程を担当できる作業者を資格制にした。定期的に技能試験を実施し、一定以上の技量を持つ作業者だけに限定した。その上で、抜き取り検査の回数を増やした。作業者が変わるごとにサンプルを2つ抜き取り、「プル検査」を行う。プル検査とは、ハンダで接合したセルを引きはがして、接合強度や接合面の状態を検証する試験だ。ネクストエナジーでは、今後ハンダ工程を自動化する計画だが、「自動化しても条件設定が不適切だと不良になる。抜き取り検査は必要」と、ネクストエナジー・品質管理課の酒井良寛課長は言う。

 ハンダ工程の抜き取り検査を厳しくする一方、出荷前の最終検査を「EL発光画像撮影(EL検査)」とソーラーシミュレータによる「I-V特性の測定」の2重チェックとし、それぞれについて出荷基準を厳しくした(図5)。EL検査とは、パネルに電流を流して赤外発光する像を専用カメラで観察することでクラック(割れ)を見つけるもの。クラックには、将来的に出力に影響を与える可能性があるものと問題ないものがある。ネクストエナジーはこの違いを中古パネルの評価などを基に蓄積し、検査時の基準にした。また、I-V測定とは、電流と電圧の出力特性を把握するものだ。「単に電流や電圧の値だけでなく、両者の関係を示すI-Vカーブの形を検証することで、発電特性の悪いセルが混ざっているかどうかがわかる」(酒井課長)と言う。

図5●I-V特性を測定するソーラーシュミレーター
(出所:ネクストエナジー・アンド・リソース)
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