無線技術やDSP性能を競う

 外部機器との接続にどのような無線技術を利用するかという点も、補聴器メーカー各社の差異化要素となっている。例えばOticon社の場合、家庭内機器と中継器、およびiPhoneと中継器の接続にはBluetoothを使うが、補聴器と中継器の接続には近接場電磁誘導(NFMI:near field magnetic induction)を採用する。Bluetoothに比べて消費電力を約1/10に低減できるため、補聴器に内蔵する電池を小型化できる。これにより、小型で目立たないスタイリッシュな補聴器を作れるというわけだ。

 搭載するDSPの高性能化も目覚しい。雑音のレベルは下げ、聞き取りたい音声を強調するために、高度な音声処理が必要になるからである。Oticon社の補聴器の最新機種では、4個のプロセッサーコア(クアッドコア)を実装したDSPを搭載している。同社はDSPを競争力の源泉の一つとみて、自社で開発を手掛けている。