ソーシャルクラウドとCEP

 CEPとはComplex Event Processingの略で、複数の発生元から生成されるデータストリームを解析し、背後にある事象やパターンを推定する技術・手法のことである。多量のデータストリームから、機会や脅威となりうる意味のある事象を特定し、なるべく迅速に対応をとることを目的としている。技術的にはストリームデータ処理技術が適用されている。

 ソーシャルクラウドでは、図1に示すように、社会生活を支えるインフラである電力や水などの需要・供給の状態の監視、交通機関の運行状況、道路の混雑状況、気象状況、河川の水位の情報、あるいは病院や自宅などで収集される患者さんのバイタルデータ、さらにはSNS上で飛び交うメッセージの情報などさまざまなデータストリームを扱うことが想定されている。

図1
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 それぞれのデータストリームを解析しリアルタイムにアクションを起こすことで、安全・安心で快適な社会を実現できる。また、複数のデータストリームを組み合わせて解析することで、更に効果的なアクションが期待できる。

 ソーシャルクラウドのCEP機能のアーキテクチャを検討するにあたって考慮する必要がある点として、監視精度向上のため、将来監視すべきデータ量がどんどん増大することに備えることが必要である。データ量の増大要因としては、収集する属性の追加、収集間隔の短縮などが考えられる。また、監視精度向上のため、監視ルールの変更・追加が行われたり、監視処理の効率向上のため計算リソース、ネットワークリソースの最適利用が図れるように考慮する必要がある。

 ソーシャルクラウドの重要な使命の一つとして、大規模災害時の情報の適切なコントロールがある。CEP機能には、複数のソースからのデータストリームを複合的に解析することで、より安全に人々を誘導したり、必要な物資を効率的に移動したりすることが期待される。

 大規模災害発生時には平常時とは監視処理の優先度が変更されることが想定される。また、災害によって利用できる計算リソース、ネットワークリソースが不足することが想定され、その中で優先度の高い監視処理にリソースを集中させるといった運用が簡単に行える必要がある。