Q4.どんなところが便利なの?
A4.テスト自動化で工数17%減

 「特定の機種でアプリの挙動や画面表示を確認したい」といった目的なら、マウスを使った手動テストで十分だろう。しかし多数の機種で確認が必要な場合や、単一機種であっても異常操作系テストを行う場合、同じテストを手動で繰り返すのは無駄であるばかりか、テスト項目の実施漏れなどのミスが起こりやすい。

 このために、Scirocco Cloudでは「スクリプトを使ったテスト自動化」の仕組みを用意している。「NativeDriver」「Android Driver(WebDriver)」「MonkeyRunner」という主要なアプリテスト用フレームワークをサポートしており、それぞれに対応したスクリプトをScirocco Cloud上で実行できる。

 スクリプトは、開発者が記述する方法のほか、無償ツール「テストレコーダー(IDE)」を使って、マウスによる端末操作手順を記録し自動生成することも可能だ。

 企業向けのプレミアム版サービス(1ユーザーID当たり月額4万5000円から)では、apkファイルをScirocco Cloud側で自動解析して、テストスクリプトを自動生成するツール「AppScanner」も用意している。

 スクリプトを使ったテスト自動実行の仕組みは、実際どれだけ使えるのか。テスト専業ベンダーであるバルテスの川崎正博氏(第2ソフトウェアテスト部 リーダー)が2013年4月から5月にかけて検証した結果を紹介しよう。

 川崎氏は、Android用の日記アプリのテストを行うために、画面テスト、機能テスト、異常操作系テスト(連続タップや2本指による拡大/縮小など)に関する合計で117項目のテストケースを用意した。この117項目のテストケースの作成にかかった工数(420人・分)に、「(A)スクリプトを使わず手動で行った場合」と「(B)スクリプトを使って自動化した場合」の工数をそれぞれ加え、スクリプトによる工数の削減効果を算出した。

 (B)のケースについては、本来なら117項目すべてをスクリプトで自動実行するのが理想だが、「Scirocco Cloudの機能不足やテスト用フレームワークの不具合などの理由により、全体の33%(117項目のうち39項目)の自動化にとどまった」(川崎氏)。