今回から、中部電気保安協会の本店 保安部 太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかを紹介する。

 中部電気保安協会は、出力2MW未満のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の電気保安業務を担当できる、第3種の電気主任技術者の資格保有者が2013年4月時点で1481人、出力2MW以上のメガソーラーに対応できる第2種の電気主任技術者の資格保有者が同73人と、全国各地域の電気保安協会の中で最多の人材を保持している。

 メガソーラーなど売電用の太陽光発電所の建設が相次ぐ中、各地域の電気保安協会の役割に注目が集まっている。出力50kW以上の太陽光発電システムには、電気主任技術者による電気保安管理が義務付けられ、出力2MW未満ならば、電気主任技術者の業務を外部に委託でき、各地域の電気保安協会がその受け皿になっている。この外部委託の契約件数で、中部電気保安協会が国内トップとなっている(関連記事1同2)。

 「メガソーラー・トラブルシューティング」の新シリーズでは、中部電気保安協会が実施した研修の内容を中心に構成する。この研修は、太陽光発電システムに特化し、所属する電気主任技術者に対して実施した(図1)。

図1●中部電気保安協会では、太陽光発電システムに特化した研修を実施
この日は、名古屋本店に所属する約20人が研修した(出所:日経BP)
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 電気主任技術者の資格を持つ職員の技術力を向上する取り組みの一環で、現在はトラブル事例を集積し、対応策まで含めて、協会内で研修しながら共有していく時期にあるという。再生可能エネルギーによる電力の固定価格買取制度(FIT)が施行されてから、まだ2年間に満たない時期ならではの研修という。電気主任技術者の経験が一定水準以上に積み重ねられ、ノウハウを蓄積した段階になれば、日々の業務の中での伝達で共有できるようになるという。