学会は東京国際フォーラムや帝国ホテルで開催された
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 京都大学大学院 医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 教授の伊藤壽一氏は、2014年4月2~6日に東京都内で開催中の「第118回 日本眼科学会総会(118th JOS)」で難聴(内耳障害)に対する治療法の開発動向について講演した。講演タイトルは「再生医学を応用した内耳障害に対する新規治療法の開発」である。

 伊藤氏によれば、難聴に対する治療戦略は大きく三つに分かれる。軽度の場合は薬物療法、中度の場合は遺伝子療法や細胞療法、重度の場合は「最も成功した人工感覚器」(同氏)とされる人工内耳を使う。

iPS細胞移植と組み合わせて使う

 このうち人工内耳に関する最近の進展として、ラセン神経節細胞と呼ぶ細胞を、幹細胞移植を使って再生させる技術を紹介した。人工内耳を埋め込んでも、ラセン神経節細胞が機能していない場合は聴力が回復しないことが、サルを使った実験で明らかになっている。そのため、人工内耳の利用に当たっては、ラセン神経節細胞の再生が重要というわけである。これまでラセン神経節細胞の再生にはES細胞の移植が使われてきたが、今後はiPS細胞の移植が有望とした。